マイナンバー制度導入の準備が進められています。6月22日、神奈川ネットでは、森田明弁護士を講師に制度の概要や問題点を伺い、意見交換しました。
マイナンバー制度については、導入による課税の公平性や事務の効率化などのメリットが言われる反面、情報流出による被害、なりすましや制度導入に伴うシステム改修に要する多額の費用など、様々な問題点も指摘されています。
マイナンバー制度が導入されると、個人の一生を通じて社会保障・税・災害対策などの分野において、1枚のカードで本人確認と身元確認が可能となります。行政や事業主など使う側には、洩れなく管理できる良いシステムかもしれませんが、管理される側からは、収入・勤務先・年金等、デリケートな情報が個人レベルで一生管理されることの不安が拭えません。
日本年金機構の個人情報流出事件以後は、マイナンバー制度の安全性についても不安の声が大きくなっています。国はシステムの安全性を強調していますが、導入前から利用範囲を銀行預金や医療情報にまで拡大する動きがあることは疑問です。
学習会後の質疑応答では、世帯内のなりすましへの危惧やトラブルによる混乱、高齢者のマイナンバー管理など、様々な疑問や不安が出されました。また、事業者としてのワーカーズ・コレクティブの対応や負担についての質問も出されました。
県内自治体では、個人情報保護条例改正や、独自利用について定める条例制定に向けた意見募集が行われています。マイナンバー制度の導入は、行政手続き上のことに留まらず、私たちの生活を大きく変化させる可能性があります。今後の制度拡充のことも考え、マイナンバーが何に使われるのか、コストはどれくらいか、安全性の確保策など、使われる側の当事者としてしっかりチェックしていくことが必要です。