辺野古基地問題から見える自治と分権


沖縄県名護市辺野古で進められている米軍基地建設。何度も示された「県内移設反対」と、自治体の自己決定権の存在を求める沖縄の意思を無視し、遂に10月29日、国は埋め立て本体工事に着手しました。現在、翁長知事は、国地方係争処理委員会に不服審査を申し出ています。まさに、国と地方とが真正面から対決する状況となっています。

沖縄県民の意思はまず、2014年11月の沖縄県知事選挙で、翁長氏が約10万票の差をつけて、現職の仲井間氏を破ったことで明確になりました。超党派による「オール沖縄」の体制を作り沖縄県民の意思を結集、翁長知事も一貫して「イデオロギーよりアイデンティティを」という主張を掲げています。続く、12月の衆議院選挙でも、全選挙区で辺野古基地建設反対派が当選、沖縄の意思を再度明確にした選挙結果となりました。  この動きを先導した「普天間飛行場の県内移設反対、オスプレイ配備撤回を求める島ぐるみ会議」には、県内の政財界や労働・市民団体の有志や有識者等が、発起人として名を連ねています。現在も辺野古基地のゲート前では、県警・警視庁機動隊に対峙し座り込みを続ける住民の姿があります。こうしたオール沖縄運動に対して、政府は、自治体の頭越しに地区に直接再編交付金を交付する方針を示すなど運動の分断を狙った動きも活発化しています。辺野古移設が唯一の解決策とし、民意や地方自治を無視した強権的な政権の手法に対して強く抗議します。

沖縄県民が求める「県民の尊厳・生活の安全と安心」は、神奈川県に暮らす私たちの生活・環境・人権につながる問題です。安全保障関連法の成立により、自衛隊と米軍の連携は加速しています。第2の基地県に暮らす私たち一人ひとりが、基地の現実に向き合い、自治と分権の実体化する活動を進めていかなければなりません。安全保障関連法の廃止に向けても幅広い連携を模索していきます。
【神奈川ネット情報紙No.362視点より】
工藤 恒子(市民自治をめざす神奈川の会)