東日本大震災の教訓を未来に繋ぐ 


 2011年3月11日から6年半が経ちました。東北の被災地から、復興住宅の完成、新たな商店街のオープン等のニュースが届いたのはつい最近のことです。かつての生活やコミュニティを取り戻すにはあまりに長い時間が経過しました。改めて震災被害の甚大さと復興の困難さを痛感します。

 神奈川でも震度5強を体験した、あの強烈な印象は、今でも鮮明に思い出されます。被災地の人々と思いを共有し、震災の教訓を忘れず、共に歩んでいこうと2013年から神奈川で開催している東日本大震災復興支援まつりは、今年5回目を迎えます。年一回、被災地の人々と、神奈川の私たちが直接会って、復興の歩みを確認し合う貴重な場となっています。震災以後、何度か訪れた被災地の風景を、これからも見て、そこで暮らす人々の話を聞き、伝え、共に生きていきます。

 しかし、一方で、震災と同時に発生した東京電力福島第一原発事故を、私たちは過去の記憶としてはなりません。「復興」の名のもとに、避難指示区域が次々と解除になり、災害救助法に基づく住宅供与制度がこの3月で打ち切られました。放射能の影響から逃れ、各地に避難している被災者は、孤立化、困窮化する現実に不安な気持ちを抱え、新たな地での繋がりを求めています。

 この避難者の現状を知ることから、原発事故がもたらした致命的な現実を受け止め、私たちは、エネルギー政策の転換を進め、未来を選択していく責任を果たさなければなりません。

 大震災後、多くの市民が、復興支援に、脱原発に、自らの意志で動き出しています。これらのムーブメントを止めることなく、市民社会を強くすることで、よりよい未来へ繋いでいきます。

岩本 香苗(ネットさがみはら)
【神奈川ネット情報紙No.384 視点より】