デジタル改革関連の6法が成立しました。昨年12月の「個人情報保護制度の見直しに関する最終報告では、“個人情報保護とデータ流通の両立を図る“としていますが個人情報から個人の識別を除外し匿名加工して経済的利益を生み出すことを狙いとしています。
個人情報保護法改正により自治体ごとに条例で定めていた個人情報保護のルールが、国の個人情報保護法に一元化されます。現在、自治体では税や住民基本台帳などそれぞれ目的を限定して目的外に転用させないよう分散管理しています。一元管理により、個人の様々なデータを容易に寄せることが可能になります。監視社会につながる不安が増し、個人を記号で処理することにより人権を損なう恐れもあります。
自治体では個人情報は本人同意に基づいて直接集めることが原則ですが、国の個人情報保護法では本人からの直接収集を原則としません。また、自治体では思想信条や犯罪被害・病歴・犯歴・社会的身分など要配慮者情報の収集を原則禁止しており、例外の場合は審議会等に意見を聞く仕組みがありますが、国ではこの原則がなくなります。また、この法が施行されると、都道府県・政令市は、有する情報を匿名加工し、民間などに利活用案を年1回募集することが義務化されます。 この法に対し、本人開示請求や訂正請求、利用停止請求、審査請求の手続きはこれまで通り自治体が行います。条例設置の審議会等への諮問については「最終報告」によると「個別の個人情報の取り扱いの判断に際して、審議会等に意見を聞く必要は大きく減少すると考えられる」とあります。今後、審議会の機能が維持できるかチェックする必要があります。一方で、審議会への報告は国の規制に関係なく維持させる必要があります。報告機能のあるところは維持していく、ないところは入れるよう働きかけていくことが重要です。
また国では手数料を徴収していますが、自治体では本人開示請求に手数料を徴収しているところはほぼありません。自治体の条例で定めなければ有料となることが予想され、情報開示の権利行使の観点からも有料化を阻止していく必要があります。 今回の法改正は、個人情報を慎重に運用してきた地方分権に逆行するものです。審議会等のあり方、手数料の徴収についても注視し、市民が声を上げていくよう活動していきます。
【神奈川ネット情報紙No.428視点より】
加藤 陽子(座間市民ネット)