ともに生きる学習会「横浜こどもホスピスうみとそらのおうち」を見学しました


 6月28日、神奈川ネット主催「共に生きる学習会」で、 「横浜こどもホスピスうみとそらのおうち」を見学しました。

 「うみとそらのおうち」は2016年がん対策基本法改正時に緩和ケアが位置付けられ、横浜市の「生命を脅かす病気の子どもと家族の療養生活支援施設整備運営事業者」に選定され、2021年秋に完成した施設です。 まず、この施設を紹介したテレビ番組を視聴した後、設立・運営を行うNPO法人横浜こどもホスピスプロジェクト代表の田川尚登さんから話を伺い、施設内を見学しました。河口近くに建つ2階建ての建物は、祖父母の家や友達の家を訪ねるように利用してほしいと、思い切り遊べる広いホール、子どもと大人が一緒に料理できるキッチン、家族で入れる大きなお風呂、ベッドのある部屋が大小3室、など。庭には大きなブランコもあります。

 日本には15万人いると言われる難病の子どものうち、生命を脅かされる病気の子どもは2万人とも言われ、早期の死を免れることが困難な病気(総称LTC)の子どもが安心して家族と利用できるのが、こどもホスピスです。
 子どもは重い病気であっても日々成長の過程にあり、育つ権利が保障されなければなりません。ところが、実際は治療により免疫力が低下していることから学校などに通うことができず、家庭と病院だけの生活になっています。WHOによると小児緩和ケアとは、身体的・心理的・社会的、またスピリチュアルな要素も含む全人的なケアで、家族支援も含むとしています。それは診断時に始まり、家族支援は死別後も続きます。
 治療だけではない、子ども本人と家族の生活の質の保障は大事です。ここでは、看護師と保育士を配置し、子どもは好きな遊びをして「あー、楽しかった」と子どもらしい時間を過ごし、家族もレスパイトできます。
 発祥の地イギリスでは、50カ所以上が寄付により運営されているとのことです。一方、日本では、こどもホスピスやそれを必要とする子どもや家族のこともあまり知られていません。田川さんは、個々の子どもの希望は多様であり、こどもホスピスは制度にするものではないと言われました。現在、横浜市から土地は30年無償貸与されていますが、建設費用や備品購入はすべて寄付で賄われています。今後、年間5000万円もの運営費も寄付など市民の力で拠出していかなければなりません。今後はLTCの子どもと家族の心理的、社会的孤立の軽減のために、地域でのネットワークづくりも大切になっており、地域課題として、こどもホスピスについて皆で考えていけたらと話されました。
 子どもの権利条約採択から30年余。すべての子どもは生きる権利・育つ権利・遊ぶ権利など、保障されなければなりません。それは、社会の責任です。市民による豊かな地域づくりに今後も取組みます。

子供と一緒に料理ができるキッチン

家族で入れるお風呂

人気のあるブランコ

子どもたちがのびのび遊べるスペース