軍備拡大で平和は守れない


 反撃能力の保有を明記した外交・防衛政策の基本方針「国家安全保障戦略」など安保関連3文書が12月16日閣議決定されました。これは憲法9条の解釈から逸脱するもので、平和国家の在り方の大転換です。ロシアのウクライナ侵攻や中国の軍拡、北朝鮮のミサイル発射等で揺らぐ国民の不安に乗じるのではなく、戦争を起こさないように外交努力を尽くすことこそが政治の役割と考えます。
今回の決定には敵基地攻撃能力の保有が含まれ、相手が攻撃に着手すれば反撃できるとしています。一方、他国の意思を「正確に予想することは困難」とも記しています。神奈川ネットは、敵基地攻撃能力を持つことが抑止になり平和を守れるという考えは、支持できません。お互いに不信感を抱き、対抗策として際限のない軍拡を繰り広げる危険が高まり、緊張の糸が切れたその時、戦争が始まることは歴史が物語っています。
 神奈川県には、在日米軍や自衛隊の拠点である基地が沖縄に次いで多くあります。キャンプ座間や厚木基地において日米一体化の動きが加速してきたのを地元では感じてきましたが、この政策転換により日本がアメリカの軍事戦略に巻き込まれていく不安がますます強くなっています。また国内には原子力発電所が多くあり、攻撃対象となる危険性に対しては無策と言わざるを得ません。「もしも」の場合を表層的にしか考えず、外交努力をすることなく、軍事力を拡大させるやり方では、市民の命は守れません。
 ロシアのウクライナ侵攻により、食料・飼料やエネルギー等資源の高騰が市民生活を襲っています。新型コロナウイルス感染症拡大により、仕事等が減り困窮から立て直しが出来ない人も多くいます。いまするべきは、税を上げて防衛費を増やすことではなく、市民生活の安全保障を優先し、社会保障をはじめ暮らしを守ることです。
 安全保障政策の転換については、閣議決定ではなく国会で十二分に審議を重ねるべきものと考えます。恒久平和のために、対話による平和外交の道を必死になってさぐり、多くの場面で議論すべきです。そして私たちは、周辺で起こる事象について不安を煽るのではなく、違いを認め互いを受入れ理解し合うことを、地域から実践していきます。