大都市制度は地域に根ざした議論を


 「大阪都構想」を掲げ当選した橋下大阪市長誕生から2ヵ月余り。教育・文化から市職員組合との関係にまでおよぶ市政改革が次々と進められていますが、トップダウンで進める橋下改革の強引な手法の行き着く先はいまだに見えてきません。しかし、「大阪都構想」は今後の地方政府・自治のあり方に一石を投じるものであり、改めて、市民社会が政治をコントロールすることができるのか、市民の自治力が問われています。
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 神奈川県では、平成の大合併で政令市となった相模原市を含め3つの政令市は合わせて580万人となり、県人口900万人の3分の2に迫っています。政令市の自治と分権はますます大きな課題です。
 神奈川ネットでは、これまで都市内分権を掲げ、行政区に基礎自治体の機能を持たせる提案を行なってきました。現在、各政令市では区民会議の設置や区への予算配分などが試みられていますが、問題の本質を解決するものとはなっていません。

 昨年7月、全国政令指定都市市長会からは、現在の道府県と同等の権限を持つ「特別自治市」の創設が提案されています。国の地方制度調査会でも、大阪都構想と特別自治市の議論がはじまりました。

 しかし、県・府と政令市の関係のみの議論では、市民からは遠い制度論としか見えません。大都市制度が必要な根拠として、県・府と政令市の二重行政の弊害ばかりが言われますが、医療・介護といったセーフティネットを多重にすることや消防・教育など広域で取り組んだ方が効率的なものもあります。それぞれの機能分担のあり方をボトムアップでていねいに議論していくことが求められます。

 少子高齢化が進み、地域のあり方が大きく変わろうとしている今、地域に根ざした市民自治の確立こそが必要です。

【神奈川ネット情報紙 No.318視点より】
 神奈川ネット政策部長 岩本香苗(ネットさがみはら)