海外研修「韓国市民社会に学ぶ」(6/19〜24)を実施中!6/20・21レポート


韓国女性部へのヒアリング、「世界女性学際会議2005」シンポジウムから

【研修レポート②:6/20】 又木京子(NET政治スクール理事長)

 今日は、韓国女性部(女性省)を訪問しました。
 今回、女性部は女性家族部に改変されます。この理由は2つ。1つは、1988年以降制度を作ってきたが、今後は文化を変えることが重要であり、特に家族の関係を変える必要があるとのこと。2つ目の理由は、少子高齢化で既存の家族のスタイルが崩壊し、多様化しているため、保健福祉部にあった老人対策を女性部の管轄にするためです(保育は、前の女性部時代に移しています)。
 実はここで驚く話を聞きました。韓国は、2007年に介護保険制度を導入する予定で、保育は今年の予算で大幅アップ、6000億ウォンが計上されています。この保育予算は、国に加えて自治体が同額を用意し、自治体の仕事になるそうです。
 さて、この予算の配分ですが、韓国では2004年から、施設にではなく、子供たちに配分するバウチャー制度(介護保険のような制度)を導入しているのだそうです。保育制度の改正は、保健福祉部の時代には不可能でしたが、女性部に移ったので、思い切って進めました。このとき、女性部の建物の前の公園で1ヶ月間、既存の利益を得ている保育関係者がデモを続けたそうです。
 以前、厚生労働省と保育のバウチャー制度について円卓会議を開いたときに、厚生労働省は、制度を変える必要性は理解できるが、既得権益者の反対をかわすことはとてもできないといっていました。もしかしたら、日本でも、女性省を創設して、福祉を移せばよいのでしょうか。ここでも韓国の制度は日本を越えてしまいました。

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【研修レポート③:6/21】 佐藤洋子(団長/NET代表)

 「国際女性学際シンポジウム」の第1日目、基調講演をされたアフリカ・タンザニアの女性問題省、国土省等の大臣職を歴任したモンゲラさんから、「これからは、女性による資本の創出・投資が重要、お金を財布に眠らせてはいてはいけない」との発言があり、私たちNETの運動と相通じるものを感じました。彼女は、平和のためのグローバル基金をつくることも考えているとのことで、NETの「市民社会チャレンジ基金」の目的とも重なります。NETの個人寄付を拡げ、議員も代わり合うなど女性・市民の政治参加をすすめる方法の重要性をあらためて確認しました。

 今回の韓国研修は、この「国際女性会議」への参加と同時に、韓国の女性団体、行政府への訪問調査も行っています。
 「北京女性会議」以降、2000年に、金大沖大統領(当時)政権で制定された政党法による比例区選挙区選挙の候補者の半分を女性にする「50%クォータ制」の導入によって、国会での女性議員の割合は、13%に伸びたということです。さらに、2008年から、戸主制が廃止されることになり、今までの遅れを取り戻すかのように女性政策の推進がはかられていました。しかし、制度は整備されても、階級社会の中で、これまで長い年月続けられてきた生活文化を変えることは容易なことではないようです。<<次回に続く>>