安倍晋三首相は、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)交渉への参加を正式表明しました。TPPは、「聖域なき関税撤廃」を前提とした交渉であり、農業や医療、保険、金融など日本社会の仕組みに大きな影響を与える可能性が指摘されてきました。日本がTPPに参加した場合、国内の消費や工業製品の輸出は増加するものの、農業分野の生産額が3兆円減少するとの政府の試算も明らかにされました。東日本大震災、および、福島第一原子力発電所の事故は、農業にも多大な被害を及ぼしています。まずは、一日も早い地域復興に向けた取り組みこそが求められます。
一方で、安倍首相は、TPP交渉への参加にあたり、「一方的に全ての関税を撤廃することをあらかじめ約束することを求められるものではない」としていますが、この間、後れてTPP交渉参加を表明したカナダとメキシコが、極めて不利な追加条件を承諾した上で参加を認められていたことも報じられています。最終的な結果は交渉の中で決まっていくのであって、この日米共同声明を持って、「例外品目が認められた」とするのはあまりに不十分であり、市民への説明責任を果たしていません。TPPの参加の是非を判断するための十分な情報提供がなされないまま交渉へ参加すべきではないと考えます。