〜横浜市で、市民の声が駆け込み大量閲覧防止を進めた〜


NET共同代表(横浜市会議員) 若林智子

 横浜市では、9月議会で市民から出された「住民基本台帳の駆け込み大量閲覧の防止のための条例制定を求める請願」が全会一致で採択されました。市民は、これをもとに、早急に条例化が進むことを期待していましたが、市民局は、閲覧制限に関する要綱を制定し、12月22日の閲覧申込から、閲覧した情報の転記を認めない事を発表しました。

 この間、市民局は駆け込み大量閲覧への対策として「閲覧回数の制限やリストの並べ替え」といった措置を講じることで効果があるとしてきました。しかし、私は、閲覧申請書を情報公開請求した結果から「担当者が閲覧人数を把握していない、大量閲覧が下請け化して責任の所在がわかりにくい。各社、2ケ月に1回といった閲覧制限は意味がないし、閲覧名簿をアイウエオ順にしても、対処療法にしか過ぎない」と指摘し、商用目的の大量閲覧を禁止することを提案してきました。今回、ようやく実効性のある具体的な対策が示されたことは大量閲覧防止へ一歩前進したと、評価するところです。

 一方、採択された市民請願は、条例制定を求めたものでありながら、議会も行政も条例化に向けた議論を活発に行なえなかったという課題も残されました。市長は、6月議会において、「市で単独で条例等を作るのは法秩序的に難しい」と発言していますが、閲覧した情報の転記を認めない、つまり、原則公開が前提であれば、条例化しても住民基本台帳法との整合性の面からは何ら問題はありません。市川市では、すでに、今回、横浜市が行なう措置と同様の規制を条例で定めています。要綱は、あくまでも行政内部の基準であり、その変更も容易に行なえます。

 やはり、市民にとって必要なルールは、市民と議会の力で制度化すべきと考えます。私たちは、今後も市民とともに積極的に市民立法に取組み、官主導の社会に対し、市民が政治を動かす力を発揮していきます。