長野県知事選挙は、3期目を目指した田中康夫氏が元衆議院議員村井仁氏に敗れるという結果に終わりました。改革派と言われる首長に期待や注目が集まり、その実践が自治体改革に一定の成果をもたらしたことは事実ですが、市民は、首長のパフォーマンス政治の限界を感じ始めているのでしょう。
まず、田中氏に問いたいのは、地方政治への姿勢です。地方分権を謳いながら国政党「新党日本」の党首となる、あるいは、民主党のネクストキャビネットを務めるなど、かつて、脱政党カラーを打ち出した事とは相容れない言動に、疑問を持った市民は多いはずです。また、選挙戦では、自民・公明、民主党がそれぞれ推薦、支持を表明するなど、政党のコントロールから脱することのできない選挙となりました。
そして、また、田中県政は、議会や市町村との対立が続く中での「田中流トップダウン」手法が県政を停滞させてきたという批判が絶えない6年間でした。
おりしも、先頃行われた滋賀県知事選挙でも、県議会議員選挙における民意とは異なる市民の意思が表明されていますが、民意は、常に変化し得るものであり、その民意を反映させ統合・形成していくことこそが議会の役割りで、独任制である首長にはない機能を持っています。
長野県では,首長が交代することで県政は大きく方針転換せざるを得ませんが、新首長のスタンスによらず、合議制の機関である議会の機能を発揮することもできるはずです。選挙結果は、市民や議会に「変える力」が備わっていることの表れでもあり、今後の長野県政に注目したいと思います。
若林智子(NET共同代表 横浜市議会議員)