県の情報公開・個人情報保護意識が問われている


〜地に落ちた「情報公開先進県」〜

県の教育委員会に対して「行政文書公開請求」をした横浜市内在住の方から、7月6日に請求者の個人情報が漏洩したという相談が神奈川NETの若林智子横浜市議に寄せられました。
これは個人情報の保護、人権にかかわる問題として、神奈川NET横浜は当事者の方と共に、漏洩の経過や行政の対応など調査をすすめてきましたが、8月23日、この調査結果を踏まえ、今後の対策を求める要望書の提出を行ったことを発表しました。

個人情報保護のずさんな取り扱い 
今回の事件は、6月29日県の情報公開課に、県立高校の全日制・定時制併置の19校分のPTA・生徒会・同窓会の規約と会計報告過去5年分の情報公開請求を行ったところ、請求者の個人情報が他者に漏れたことがわかりました。請求者は、驚きとともに不安を感じ、神奈川NETの若林智子横浜市議に相談が寄せられました。
これは、県の情報公開に伴う請求者の個人情報取り扱いのずさんさが明らかになった事件です。
 情報公開条例においてこのような文書の情報公開の「実施機関」とは教育委員会となっています。公開の決定通知書に「印」を押しているのは、教育委員会です。しかし、今回の事件で、教育委員会では文書を管理しているのは所管機関である学校なのだから、情報漏洩の責任は学校にあるとしています。「実施機関」とはいったい何なのでしょうか?文書を保管しているという理由で各学校に責任を負わせるなら、実施機関である教育委員会は必要ないことになります。

さらにわかった県の制度の使いにくさ
 さらに、わかったのは、今回のように情報公開課(県政情報センター)でひとつの請求をしているのに、交付先が複数の出先機関にわたる場合、県政情報センターで交付文書が一括交付されないということです。情報公開条例では、市民の知る権利が謳われていますが、これでは県側の都合で県民に対し負担を強いるものであり、使いやすい制度とはいえません。
8月23日には、個人情報の取り扱いについて今後このような事態が起こらないよう責任部署としての教育委員会からの謝罪、再発防止の対策、公務員の懲戒処分の厳格な運用、県民に負担をかけない交付方法など、当事者の方から県知事あてに要望書が提出されました。

今後、私たちは県民の知る権利が保障される情報公開条例となるよう、また、このような事件が起こったときに迅速に対応するオンブズマン制度づくりなどについても検討し、提案をしていきます。    神奈川ネットワーク運動・横浜事務局長 竹中麻美