3.11東日本大震災から10年.ひとり一人が大切にされる社会づくりを


東日本大震災から10年が経過しました。震災関連死を含め死者・行方不明者は21000人を超え、町の復興にも様々な課題があることが伝わってきています。

大震災による東京電力福島第一原発事故後、今なお福島県からの避難者は3万人を超えており、廃炉は進まず、核廃棄物の最終処分の見通しもついていません。しかし、宮城県知事は昨年11月東北電力女川原発2号機の再稼働に同意し、原子力規制委員会は日本原燃(株)の六ヶ所再処理工場、東京電力刈羽原子力発電の安全性も認可しています。事故から私たちが学んだ「不測の事態では人間にコントロールできない電源であること」は、置き去りにされています。

福島県では、原発事故被害からの復興を掲げたい市民と、線量の高い箇所があることから不安を抱える人との間に分断も起こっていると聞いています。また避難地での生活が長くなったことで、生活基盤が変わってしまった人もいます。元のコミュニティーの再建は困難になっていると言わざるを得ません。東北では震災後、9割の自治体が人口減になっているとの報道もありました。

大震災・原発事故により、生活基盤が脆弱と言われる人への支援が不足していたのではないかと言われています。自宅が半壊だったため支援を受けられず、お風呂の修理ができなかった人は10年も台所でお湯を沸かして身体を洗っていたことが報じられました。障がいのある娘を抱えた女性は、慣れ親しんだサービスを受け続けるために自宅から避難することは出来なかったなどの事例もありました。時間の経過とともに、これまで聞こえなかった声が届いています。

いま新型コロナウイルス感染拡大により、一人ひとりの生活の有りようが変化しています。コミュニティーの分断や格差の拡大、生活基盤の脆弱と言われる人への支援不足など、東北大震災で見えていた課題、見えなかった課題のどちらも同じことが、私たちの地域で起こっているのではと考えます。人口減少していく社会のなかで、人が生きることにしっかり目を向けていくことが必要であることを、今もなお、東北から学ぶことが多くあるように思います。

神奈川ネットは、これまでも東日本大震災復興支援まつりを通じ、東北のみなさんとつながりを作ってきました。この出会いを大切にし、これからの一人ひとりが大切にされる社会を創るための学びの場として連携していきます。