今こそ地域の政治


   神奈川ネットワーク運動は、これまで大勢の市民と議論を交わし、共に必要とされる活動やサービスを地域で創出し、制度化への先鞭をつけながらまちづくりを多くの仲間とともに進めてきました。日々暮らし働く地域において、多様な意見の中から合意点をつくり、市民民主主義を体現する現場でもありました。これらの現場の声が市民がつくる安全保障となり、個人の人権から考え、安全を地域のしくみとし、参加・分権・自治・公開で確保することの提案につながっています。私たちが住み暮らす地域において軍事によらない平和への共感を高め、安心して子どもが育ち歳を重ね、持続可能な環境を作り出すことは、生活と政治をつなぎ、市民参加による「市民政治」だからこそ実現できるものです。
 現在、日本はもちろん世界の民主主義が危うい中で、コロナ禍の影響を受け、民主主義を支えるべき社会の安定を脅かす格差・困窮が深まり、対話すら出来ない外交では、平和を築けない時代になっています。さらに、ロシアによるウクライナ侵攻は世界の食糧高騰・エネルギー不足を引き起こし、日本も例外ではなく食料・エネルギーに関する安全保障政策の未熟さが露呈されました。長期化する戦争により、市民の中にも防衛力の強化への同調が広がり、国は国家安全保障戦略など安保関連3文書において、敵基地攻撃能力の保有を明記し、向こう5年間の防衛費を1.5倍にするとしています。さらに、年末にはグリーントラストフォーメーション実行会議で、原子力発電所の新規建設や60年を超える施設の運転を盛り込んだ基本方針を取りまとめました。原発の新設・延命は、2011年の東京電力福島第1原発事故の被害をないがしろにしたものであり、到底納得のいくものではありません。国の暴走とも言える事態に対し、今こそ国にコントロールされない地域の政治が必要です。
 神奈川ネットは、政治は生活の現場にあり、課題解決にむけて知恵を共にだし、共感を広げ、市民の参加と責任で、希望ある未来へと繋げていくことが必要と考えます。これからも地域で、多くの市民と対話し、安心して暮らすことができる地域社会にむけて活動していきます。