介護保険制度は自治体の裁量を高めるべき


厚生労働省ヒアリング

10月1日、参議院議員の大河原雅子さんのコーディネートで、神奈川ネットワーク運動(NET)の介護保険検証PJメンバーが厚生労働省の担当者へのヒアリングを行いました。

介護保険制度は、給付と負担の関係を自治体が決められるという、本来地方分権の試金石となるはずの制度でした。しかし国が細部まで規定し、市民の選択権や自治体の自由度を奪い混乱させていることが、昨年のNET「参加型!介護保険検証プロジェクト」で行った地域包括支援センターやW.Coをはじめとする介護保険事業者等への聞き取り調査から明らかになりました。

ヒアリングでは、事業所の経営状況を悪化させ賃金低下・介護労働不足の要因ともなっている一部介護報酬の月額固定制や、施設系・居宅系サービス給付費が其々全体の何パーセントまでと決められていること、保険財政が悪化したときのために保険料から都道府県に拠出している基金が使われずたまっているのに、制度上自治体に返還できないこと、といった国がはめている枠をはずし、自治体の裁量を高めるべきとの視点で質問、意見交換をしましたが、基金以外は今のところまったく考えられていないようでした。

介護事業者や従事者の実態についての調査結果を元に、介護報酬改定に向けた検討が国で始まり、来年1月下旬には介護報酬改定案が出される予定です。各自治体では2009年度から3年間の高齢者福祉計画・介護保険事業計画の策定作業がスタートしていますが、その計画と新たな介護報酬に基づき、保険料改定のための介護保険条例改正案が来年3月に提案されることになります。

介護保険プロジェクトでは、国の動きも見据えながら、各自治体への制度提案と共に市民が出来ること、参加型福祉のモデルを拡げる活動につなげていきたいと考えています。
                          佐藤秀子(NET政策部長/PJ座長)